目次
はじめに
2日目は、Open UIの発足背景についてです🧤
主にCharter | Open UIの部分を元に、どのような背景でCommunity Groupが発足し、どのようなあゆみを経てきたのかを見ていきます。
Open UI発足の背景: 現代のWeb UIの抱える課題
1993年に、HTMLに最初のForm Controlが発表されました。(のちにWeb Form 1.0となる) これを使用することで、Webページ上でテキストの入力、ボタンのクリック、ファイルのアップロード、チェックボックスやラジオボタンでの選択が可能になりました。
しかし、Form Controlのスタイルはブラウザによって決まっており、OSにも依存していました。加えて、開発者からスタイルの上書きもできない/大幅に制限されていました。
2004年から2010年にかけてDraftとRecommendationのステータスを行き来したCSS2.1の仕様においては、以下のように述べられています。Form ControlへのCSS適用は実験的であったようです。
CSS 2.1 does not define which properties apply to form controls and frames, or how CSS can be used to style them. User agents may apply CSS properties to these elements. Authors are recommended to treat such support as experimental. A future level of CSS may specify this further. - UA Conformance, CSS 2.1 Specification, W3C
Styling form controls - https://www.456bereastreet.com/archive/200409/styling_form_controls/
2004年から2008年にかけての「Web2.0」の流行を経て、Form Controlの黎明から10年以上経過したWebは、Interactivityが向上し、よりリッチなUIが求められるようになりました。 これらのデザインを実装するために、FlashやAction Script、ActiveXなどのツール/言語や、jQueryなどのフレームワークが使用されるようになりました。 このように、Webを使用する文化が広がるにつれ、求められるUIパターンも変化していきました。
そんな中、2008年に発表された次世代HTMLであるHTML5は、そのようなパターンをHTML自体に組み込んだものでした。
HTML5の登場により、<input>
への date, email, color type の入力や、<select>
でのドロップダウン選択などが可能になりました。これにより、より高速で、信頼できる、アクセシブルでリッチなフォームを簡単に作成できるようになりました。
W3CによるHTML5の仕様策定、WHATWGによるHTML Living Standardの運用開始から15年以上が経過した現在、多くのWebサイトは、HTML5によるForm ControlやUI Controlが提供する以上のものを必要とするようになっています。 そのために、重たいJavaScriptフレームワークに頼ったり、アクセシビリティを犠牲にしたりすることも往々にしてあります。 それによって、ページの読み込み速度が低下したり、セキュリティの脆弱性が生じたり、アクセシブルでなくなることも珍しくありません。
そこで、HTMLをもう一度モダナイズし、現代のニーズに応える UI パターンを標準化する動きが立ち上がりました。それがOpen UIの発足です。
It’s time to modernize HTML once again, and standardize the underlying technology needed by web developers to create the most common patterns of form and website-level UI controls. - Vision, Charter, Open UI
Open UIは、HTML、CSS、JavaScriptなど、Web UIを取り巻く技術全般に関わる標準化を目指しています。 そして、それらを組み合わせたUIを作成するアーキテクチャ自体の標準化も視野に入れています。
Wrap-up
- 1993年に定義されたHTMLのForm Controlでは、ブラウザやOSに依存したスタイルが適用され、スタイルの上書きもできない/大幅に制限されていた
- 2008年に発表されたHTML5により、HTMLだけでよりリッチなフォームを簡単に作成できるようになった
- HTML5やHTML Living Standardの登場から15年以上が経過し、多くのWebサイトはHTML5によるForm ControlやUI Controlが提供する以上のものを必要とするようになった。Form ControlやUI Controlが提供する以上のUIを実現する上での問題も顕在化した。
- Open UIは、現代のWeb UIが持つ課題を解決するために以下に関して取り組む
- HTML、CSS、JavaScript、Web APIなど、Web UIを取り巻く技術全般に関わる標準化
- 特定のユーザインターフェースのみを標準化の対象とするだけでなく、カスタムのUIを作成するために必要なアーキテクチャの標準化
それでは、また明日⛄
See you tomorrow!
Appendix
- The History of Web Browsers
- The Evolution of Web Forms
- Standardizing Select And Beyond: The Past, Present And Future Of Native HTML Form Controls — Smashing Magazine
- Styling form controls | 456 Berea Street
- 17. Flash と ActionScript - JavaScript: 最初の 20 年 (翻訳) - inzkyk.xyz
- HTML Living StandardとHTMLの歴史 - とほほのWWW入門